医療福祉の税務情報
医療福祉の税務情報
文書作成日:2019/07/15


 今年の10月1日からいよいよ消費税の税率が8%から10%へと引上げられます。これに伴い、軽減税率制度が開始することで、複数税率となります。診療に関しては保険・自費にかかわらず、原則、軽減税率制度の対象とはなりませんが、窓口で取扱っている雑貨物等に関して一部対象となり得るものがあります。
 そこで今回は、軽減税率制度の概要を踏まえつつ、医療機関の窓口で取扱う雑貨物等のうち、どのようなものが軽減税率の対象となるのか、確認してみます。


 令和元年10月1日より、消費税の税率が合計8%から10%へと引上げられるのと同時に、軽減税率制度が開始します。この軽減税率制度の開始により、大きく次の3点が変わります。

1.複数税率の開始

 軽減税率制度が開始されると、次の軽減税率対象品目について、軽減税率8%が適用されます。

  1. 軽減税率対象品目:
  2. 食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類、外食やケータリング等を除く。)
  3. 週2回以上発行の定期購読契約に基づく新聞

 つまり、標準税率10%とこの軽減税率8%との複数税率となります。

現行 令和元年10月1日〜
標準税率 軽減税率
消費税率 6.30% 7.80% 6.24%
地方消費税率 1.70% 2.20% 1.76%
合計 8.00% 10.00% 8.00%

2.税額計算

 複数税率となることで、税率ごとに区分して税額を計算します。

3.帳簿及び請求書等の保存方式の改正

 上記2.の税額計算を行うために、税率ごとに区分して経理(以下、区分経理)します。この区分経理に対応するよう、これまで支払った消費税を仕入税額として控除するための“仕入税額控除の要件”であった帳簿や請求書等の記載と保存(請求書等保存方式)が、次の期間に応じてそれぞれの方式へと改正されました。

  1. 〜令和元年9月30日:請求書等保存方式
  2. 令和元年10月1日〜令和5年9月30日区分記載請求書等保存方式
  3. 令和5年10月1日〜適格請求書等保存方式

 参考までに、現行の請求書等保存方式と区分記載請求書等保存方式との違いを次に示します。

請求書等保存方式 区分記載請求書等保存方式(※1)
帳簿 @課税仕入れの相手方の氏名又は名称
A取引年月日
B取引内容
C対価の額
左記@〜Cに加え
D軽減税率の対象品目である旨
請求書等 @請求書発行者の氏名又は名称
A取引年月日
B取引内容
C対価の額
D請求書受領者の氏名又は名称(相手が不特定多数の場合は省略可能)
左記@〜Dに加え(※2)
E軽減税率の対象品目である旨
F税率ごとに合計した税込対価の額
※1 現行と同様、3万円未満の少額取引や自動販売機からの購入など請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由があるときは、請求書等の保存は求められない。
※2 EFの記載がないときは、交付を受けた側が追記可能。


1.売上に軽減税率の対象となるものがあるかどうかの確認

 冒頭でもご案内したとおり、医療機関の診療に関しては保険・自費にかかわらず基本的には軽減税率の対象とはなりません。ただし、医療機関の窓口で取扱っている雑貨物等に関して、一部対象となり得るものがあります。

 医療機関の窓口で販売できる雑貨物等は限られていますが、それらのうち次のいずれにも該当する場合には、軽減税率の対象となります。

  1. 人の飲用又は食用に供されるものであること
  2. 医薬品、医薬部外品及び再生医療等製品に該当しないものであること

 たとえば、医薬品、医薬部外品及び再生医療等製品に該当しないサプリメントや、経口補水液、口腔衛生用食品などが該当するといえるでしょう。

 自院で取扱っている雑貨物等のうち、“人の飲用又は食用に供されるもの”に該当するものがないかどうか、まず確認しましょう。そして、それが“医薬品、医薬部外品及び再生医療等製品に該当しないもの”であれば、軽減税率の対象となります。

2.日々の取引で軽減税率対象か否かの確認

 クリニック自身が軽減税率対象品目を取扱っていないとしても、消費税を申告している場合で、簡易課税制度の選択適用をしていないときに、令和元年10月1日以降に仕入税額控除をするためには、上記「区分記載請求書等保存方式」の要件を満たさなければなりません。
 たとえば、従業員へのおやつ用茶菓子代や、待合室用の一定の定期購読契約に基づく新聞代などの支出がある場合には、軽減税率対象品目の経費が発生することとなるため、区分経理が求められます。そのため日々の取引で、軽減税率の対象か否かを確認する必要があります。

3.区分経理を行い、帳簿等を保存

 区分経理が発生する場合には、軽減税率対象部分について、これまでの帳簿処理に加え、軽減税率の対象品目である旨を記載しなければなりません。
 また、原則として区分経理をした帳簿や、必要事項が記載された請求書等の保存が必要となります。

 なお、クリニックの場合にはなかなか考えにくいものの、消費税の免税事業者であっても、軽減税率対象品目を販売している場合には、購入者から区分記載請求書等の発行を求められる可能性があります。「軽減税率対象品目を販売しない」あるいは「消費税は納税しない」といっても、軽減税率制度への対応を全く準備しなくていいわけではありません。軽減税率対象品目と対応すべき内容を確認しましょう。


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
税理士法人ノリタ
〒848-0027
佐賀県伊万里市立花町1604番地26

TEL:0955-23-3131
FAX:0955-23-0167

福岡オフィス
〒810-0001
福岡県福岡市中央区天神5丁目5-19
天神赤い風船ビル8F-B号
TEL:092-717-8212
FAX:092-717-8213





バナー_伊万里市

バナー_国税庁

バナー_e-tax